ポストイットと忘れ去ったようで案外覚えてるなにか
どこ行った たしかに貼った ポストイット(字あまり)
ずいぶん以前のことです。
テレビを見ていると、初心者の方のためのパソコン講座的な番組が流れていました。
自慢じゃありませんが、パソコンに対する知識がゼロに等しい私はぼんやりとその番組を見ていました。
その中で外部メモリについて説明する部分があり、比喩を用いたVTRが写りました。
「全てのことを覚えておきながら他の作業をするのは難しいよね。だから別の作業をするときにはいったんメモを取っておいて優先する作業に移り、その作業を終えてからメモを見ればいいんだよ」
パソコンが擬人化された人物がVTRのなかでそのように得意げに言いました。
スタジオに映像が戻り、司会者が「この『メモを取る』という作業が外部メモリを使用することに該当するんです」くらいのことを言いました。
ほほう、そういうもんか。
と、妙に納得した私はおもむろに側部にほこりがたまったポストイットを引き出しの奥から引っ張り出してきたのです。
これが今日から私の外部メモリだ。
よろしく頼むぜ相棒といいながらそのポストイットにキスをしたりはしませんでしたが、ともかく、その日私とポストイットの密約はなされたのでした。
それからというもの、私は作業の傍らにポストイットを置き、なにかメモすべきことはないかと血眼になって獲物を捜し求めました。
この仕事は○日まで、よし、ポストイット!
この部分修正しとかなきゃ、よし、ポストイット!
あの資料作っとかなきゃな、よっし、ポストイット!
今日のランチ何にしようか、よおおっし、カツカレー!
それは輝かしい日々になるはずでした…
パソコンのモニターのエッジに張られた大量のポストイットを見て、「これ、何のことだっけ?」と思うまでは…
期日が過ぎて、あの件どうなってんの?と聞かれたときに、足元に落ちて糊の部分がホコリまみれになっているポストイットの無惨な姿を目撃するまでは…
その後はメモアプリになすべきタスクを入力して、デスクトップに貼り付けておくようになりました。
文字もたくさん入力できますから、なんのことか後からしっかりわかるように出来ますし、当然足元に落ちることもありません。
考えてみれば、パソコン自体が人間の外部メモリの役割をしてくれるんだよねと当たり前のことに気づいたのです。
そのとき使い残したポストイットは今でも引き出しの奥に残っているのかもしれません。
中途半端に使われて半分ほどの厚みになったポストイットは日々出たり入ったりするクリップやボールペンたちとどんな時間を引き出しの中で過ごしているのでしょうか。
ポストイットに記入したことは半日で忘れて謎の怪文書になってしまっても、あのポストイットのことは時折おもい出します。
ポストイットは眠らない
私がそんな感傷にひたっている間、ポストイットはその進化をやめることはなかったようです。
少し贖罪を得たような、寂しいような、勝手な思いを抱いております。
ポストイットの雄姿をご覧あれ!
ラベルにもなるあんちくしょう!というかラベルにしかならないでしょう!
97x92x133mmのサイズは伊達じゃない!あなたのデスクはもはや王室レベル!
全面強粘着のタフガイ!こいつの辞書に「外れる」の文字はない!
実は最後のものは今でも使っています。
素材が半透明フィルムなんで張りがあってクシャクシャにならないし、下の字が透けて見えるんでハイライトとして書籍なんかの気になった部分に貼り付けて使用しているのです。
蛍光マーカーと違って必要な部分を読み終わって、もういいなと思ったときにキレイにはがせるのが利点です。
以前は簡単に剥がれてしまうことに辟易していたというのに、今は剥がれてしまうことが私のメリットになっている。
やるな、ポストイット。
▼今日のひまつぶし
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