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カオスをこおろこおろとかき混ぜてみた話―ゼロの概念への憧憬


http://www.flickr.com/photos/33681031@N00/2234810476
photo by hyakuhei



大学で論文を書いた時のことです。その論文は英語で書かなければならなかったのですが、私は何を思ったのか英語版の某日本人作家の作品を読んでそれについての論文を書くことにしました。担当教授はその作家の作品を全く知らなかったようで(アメリカ人でした)私の論文に対する評価をするにあたり、私が引用や参照に使用した作品を全て購入して読み通してから評価をしたと言ってくれました。その教授曰く、私の論文を読んでその未知の作家にとても興味がわき、思わず購入してしまったということでした。ちなみに私の論文に対する評価は、とても面白くて人の関心を掻き立てるファンタスティックなもので購入せずにはいられなくなっちゃったけど、論文というにはあまりに情緒的でダメということを激怒しながら超早口の英語で言われました(つд⊂)エーン。最後に教授は私に顔をぐっと近づけこう言いました。"I want to kill you!"………殺されるの?私こんなことで殺されちゃうの?と戦慄を覚えたものです。もちろん殺されはしませんでしたが。教授が立ち去ったあと教室に居合わせた友人たちが驚いた顔で寄ってきて「一体何したの?」と聞いてきましたが、私に答えることができたのは「論文出しただけ…」のひとことでした。
後にその教授から伺った話ですが、そのときの怒りは私の論文を認めないにもかかわらずただつき返してスルーすることが出来ず原本まで購入して読んでしまったことにモヤモヤきてたらしいです。災い転じて福となすといいましょうか、その後は仲良くさせていただき今でもいろいろとお話をうかがわせて頂いてます。たまにお会いして近況報告などするといつも最初に言われるせりふはやっぱり「あなたは変わってるわね」というものです。
論文を書くにあたっては情緒的・感情的な部分を排除しなければならないのは当然っちゃ当然のことでして、こと英語圏の方はこの考え方に対してタイトです。あちらの方は詩的な表現をするときはたっぷりとロマンティックですし、証拠を必要とする論文を書くときは上記のごとしです。メリハリがバシッと決まってて気持ちよくはありますね。
この「感じる」部分というのは実に興味深いものです。証拠を示すことは出来ないけれどそれがあることは誰もが認めるもの。原子核の周囲に電子があることは誰もが認めることだけど、だれもその位置を確定することができないように。

皆さんご存知ギリシア神話における最初の存在であるカオス(混沌/裂け目)。これが古事記における天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)です。古事記には実にさまざまな神様が登場しますが、特に伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)が日本列島にあたる島々や火・水・風・木などを象徴する神々を生んだことからこの二柱の神(神様を数える単位は「柱」です)が世界の始まり的な空気を出しちゃってますが彼らはかなり後の世代の神様なんですよね~。


▼イザナギとイザナミ。懸命に国生みなさってます。
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で、その天之御中主神ですが、何をした神様かというと実のところ何もしてません天之御中主神はこの世界にただ現れて(というよりも天之御中主神が現れたから世界が存在するというべきでしょうか)ほどなくして消えてしまいます。つまり世界の始まりそのものなのです。

天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は、日本神話の神。天地開闢に関わった五柱の別天津神(ことあまつかみ)の一柱。
古事記』では、天地開闢の際に高天原に最初に出現した神であるとしている。その後高御産巣日神神産巣日神が現れ、すぐに姿を隠したとしている。この三柱の神を造化三神といい、性別のない「独神」(ひとりがみ)という。


天之御中主神 - Wikipedia天之御中主神 - Wikipedia


最初の一歩ということばがありますが、天之御中主神の存在はさしずめ最初の零歩といったところでしょうか。
マイナス1からゼロへの変遷にはどのようなエネルギーの変換があったのでしょうね。ロマンチックな言い方をさせていただくならば、マイナス1はどんな気分でゼロになることを選択したのでしょう。最初の一歩が大事なものであることはもちろんですが、最初の零歩のことを忘れないようにしたいものです。これから向かう先ではなく…


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