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コク味ブームは時代の~~感のあらわれ


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photo by Refracted Moments™



グルメ番組なんかを見てると「爽やかさのなかにもコクがあり豊かなハーモニーを奏でています」などというポエティックな味の表現がされているのを耳にすることがありますがそこでいうところのコクって定義がはっきりしないよねというおなはしです。しかし「定義がはっきりしないよね」というのは私が勝手に思ったことでありもしかしたらはっきりしてるのかもしれないのでちょっと調べてみようかなと。
いろいろと調べてみるとやはり明確な定義というのはないらしいがコクのおおよその姿は捉えることができた。ざっとまとめると以下のようになる。まずは①苦味の成分が少しあり、②コクそのものが何らかの食味を表すものではなく③他の味に深みや奥行きを持たせるブースター的な役割を持つもので④塩麹などの発酵食品のように時間をかけて熟成されたものにその性質が含まれる傾向があり、さらに⑤多くの人が「コクがある」と実感できるものということである。
①から④までを見るとコクというものがやはり曖昧なものであることは否めないが⑤で見るように共通の認識として観測可能なものであるという部分が共同幻想に似て非常に興味深い。「からすがみつよつ、ふたつみつなどとびいそぐさへあはれなり」的な感じだろうか。

前段でコクの定義について概観したが以下では市場におけるそれのポジションについて見ていくこととする。味香り戦略研究所の調査によると2012年以前に味の嗜好の第1位だった「濃い味」が2013年1月の時点で「コク味」にその座を奪われているという。同研の分析によると濃い味に対する飽きや健康志向が原因ということになっている。コク味の最も成功した実例のひとつがサントリーのプレミアムモルツでありその他にもコク味を明確に謳ったものから明示はしていないもののコク味志向といえるが明らかに増加しているようだ。


▼矢沢栄吉さんのCMも印象的なサントリープレミアムモルツ


▼カップラーメンにも「コク」を謳ったものが目立つ


▼「コクうま」という造語もある程度の認知度に至っているといえよう


通常の食料品のみにとどまらず菓子類にもコク味のブームは浸透している。以下にいくつか例示する。

▼こちらでは「コク深い」ということばが使われている


▼チーズもまた上述の「発酵食品」にあたる


▼「コクミルク」の文字をご確認いただけるだろうか


これらはほんの一例であり枚挙に遑がないほどである。ご興味をもたれた方はためしに検索をかけてみていただきたい。その数に圧倒されるであろう。またここに例示したものはパッケージに「コク」あるいは「こく」の文字が明示されているものに限定したがパッケージへの表記はないものの説明文にコクについての記述がなされているという商品も数多く存在する。

▼銀座ル・ブランのチーズケーキ。こういうケーキ類に多い「説明文にコクを謳う」パターン。『コクのあるレアチーズ風味のタルトの上に甘酸っぱいフルーツがどっさり』という説明が付与されている。美味しそう。


さらに味香り研究所がだした興味深い結論を引用しておく

味香り戦略研究所の調査によると、食べ物に「濃い味」を求めるシーンは個食に集中し、逆に「コク」を求めるシーンとしては「家族/友人と食べる/飲む時」と回答した人が39%に及んでいる。とくに、“食”を通じたコミュニケーションも盛んになっているソーシャル時代においては、「本物志向の味を求めることが、大人の余裕につながり、ひいてはモテ度にも影響する」と菅さん*1
「コク味」グルメが続々登場のワケ | web R25より引用

なんとコク味への志向は人と人とのつながりに対する欲求を表しているらしい。逆にかつての「濃い味」は個人至上主義のあらわれだとか。いささか飛躍してる感も否めないがなんでもかんでも現代社会の閉塞感のあらわれと結論付けるよりは面白いかもね。


▼こちらにまとめてますのでよろしかったらのぞいてやって下さい。

嗜好は濃い味からコク味へ。つながりを求める時代の現われなのか - NAVER まとめ

なんか文字が変になっちゃってますが「味香り研究所」の公式サイト
サーヴェイリポートなんかもあってなかなか面白いです。


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*1:味香り研究所味覚参謀/味分析のスペシャリスト・菅慎太郎さん